コンセプト|星のや京都

コンセプト

コンセプト

事の始まり

「もっと日本らしさを大切にしながら近代化するルートを歩むことができたなら、私たちの生活や周りの風景はどうなっていたであろうか」という好奇心が星のやを始めるきっかけでした。それは、単に歴史をさかのぼることではありません。思い描く「もう一つの日本」は、その土地独自の価値観、自然、そして文化を守りながら、時代に合わせた近代化をとげてきた時の空想の姿なのです。 野鳥の森と丘に挟まれた谷の底を流れる湯川の横に位置しています。谷の集落の真ん中には川が流れ、いつでも水や森の気配を感じるヒュマンスケールな集落をイメージして「星のや軽井沢」はできました。それから4年。集落の建物は周囲の自然となじみ、多くのゲストを和ませる空間になりました。

星のや京都

日本文化そのものといえる京都。伝統と新しさが融合する京都の魅力を、満喫していただける旅館を作る機会を得ることができました。 渡月橋で有名な嵐山は、高層建築物のない京都らしい景観を残す場所のひとつで、平安王朝の文化に影響を与えた都のリゾート地でした。この渡月橋から舟に乗り、つかの間嵐峡の雄大かつ優雅な景観を楽しみながら、大堰川(おおいがわ)を溯ること10分。星のや京都が眼前に現れます。ここが外界とは隔たった特別な場所であることは、到着したその瞬間にご理解いただけるでしょう。日中は保津川下りや山上の寺に参詣客がおられますが、夕暮れともなると、ご宿泊のお客様だけがここを独占するまさに幽玄の世界です。

水辺の私邸

京都の豪商、角倉了以家のライブラリー兼住居と伝えられている、この「水辺の私邸」は、およそ100年前に旅館になりました。私邸としてのプライベート感ある滞在、京都の洗練された文化を享受できる滞在が今回のテーマです。受け継がれた日本建築の良さを継承した星のや京都での滞在は、これまでの京都でのそれにはなかった、京都の精神性と自然の豊かさを、発見していただきたいと思います。

星のや京都を造る職人

スライドショー

                                                                                                                           

家具

埼玉県に工房をもち、日本を代表する建築物の内装を手がけたヒノキ工芸。会長と社長を親子で務める戸沢氏と、腕のいい職人さんの集団です。今回注目すべきは「世界初の『日本ソファ』」。神代杉や神代松を用い、嵯峨野の竹林を感じさせるデザインのソファは、歴史ある建物に融けあい、日本間での新しい過ごし方の提案と工夫が随所にこらされている、まさに『星のやスタイル』です。デザインは、古代ギリシャの寝椅子をヒントに開発されました。日本間特有の低い目線で見る風景や室礼の歳時記の中で、時間を過ごす寛ぎ感。戸沢さんは『和室再発見』という壮大なテーマに取り組んで、この他にも、茶箱、ベッド、ダイニング、ラウンジの家具なども見ることができます。

京唐紙

京唐紙の職人本城さんは数少ない唐紙職人で、離宮や二条城などの唐紙の製作に携わってきました。特に「揉み唐紙」の技術は、現在本城さん以外にできる職人さんはいません。
胡粉、紅殻、群青、黄土、墨そして雲母などの顔料を調合して、130年も使い続けている版木の上に、色を載せ軽やかに紙に押していきます。紙は3尺×6尺の大きさなので、版木にして12面分。さらにそれぞれ2度押しするので、1枚の紙に24回プリントすることになります。簡単そうに見えて恐ろしいほど精緻な仕事ぶりは、手押しの柔らかい風合いの紙は、客室のベッドボードや和室の襖にその技を見ることができます。

照明

星のやによるデザインと京都で製作という、伝統技術を星のやの中に活していく試みを具現化したのが今回の照明です。『三浦照明』の真鍮製の枠組みを担当する職人田附さんの工房は、培ってきた技術の歴史と誇りに満ちていました。全てご自身の手で創られたものが完成品になり、あるべき場所に置かれたとき、灯りは温かさや落ち着きという命を得たようです。昔ながらの半田鏝での鈑金作業や折り目へのこだわりなど、照明の骨組みは、田附さんの手でなければ、三浦さんの照明は完成しないそうです。星のやの客室やパブリックスペース、玄関先など星のや京都の全てを静かに照らしています。

金属

星のや月橋メゾネットの坪庭の地面は鉄でできています。製作はExit Metal Work Supply。千葉県浦安市に工房をもつ職人集団です。その地面は菊の花模様がデザインされた鉄板が坪庭に敷き詰められ、その鉄板1枚1枚に、高熱で溶かした鉄を溶接して菊の花びらを描く手法で表現していきます。これをある程度自然に劣化させて錆をつけ、風合いがでたところで錆止めをするわけです。全容は、客室2Fの窓から庭を見下ろすとその模様がはっきりとわかります。この坪庭は伝統技術というより現代アートです。代表の清水さんは、IDEEを経て、金属で家具や什器を製作する会社を設立。そんな現代のアート職人が描く、菊の文様と、京庭師とのコラボレーションが楽しい場所を作り出します。

洗い

星のや京都の前身は、老舗旅館。およそ100年前の建物は、材料や技術、職人など、現代では再現できない要素がある貴重な建築の一部は、洗い直して再利用することにしました。「洗い」という仕事は、大変地味な作業である反面、その効果は絶大なものがあります。軒下、木扉、障子の桟などを高圧洗浄したり、薬剤を刷毛で丁寧に塗って、それを手ぬぐいで拭う。それを繰り返すことによって、古ぼけで廃れているように見えていた部分が、重みのある美しいものへ蘇ります。洗いの職人の二社谷さんはモノを蘇らせ、古いものを明日へと繋ぐ達人です。洗いを掛けた建築物と新しく創られた星のやらしさのコラボレーションに大きく貢献してくれた二社谷さんの『洗い』は、エリアのあちこちでご覧いただけます。

建築設計

京都嵐山という場所で、長い歴史を重ねてきた伝統的建物にどのように新しい息吹を吹き込むか、またチャレンジの機会を与えていただきました。
古い伝統的建築を単に修復してよみがえらすのではなく、新たなあり方を提案したい、これは、星のや軽井沢から続いてきている私たちの「もう一つの日本」という課題です

京都には今の日常生活ではなかなかふれることのできないような職人の技が残っています。京唐紙、格子、土塗壁、日本瓦、こだわりの銘木しかりです。伝統を守る技術が生活の中に残っているうらやましい場所であると思います。

また、一方では京都というエリアは古さだけでなく前衛的である要素があると思っています。今回は日本の木の建築のもつ軽やかさと個室群からなる部屋の構成、歴史が作り出している味をいかすように考えていますが、また、「星のや」らしい非日常感やくつろぎ感ももちろん整えております。京都の歴史と私たちチームの新しい息吹がどのような形を作る出すか、皆様に楽しんでいただきたいと思います。

東環境 建築研究所 代表取締役 東利恵
東環境 建築研究所
代表取締役 東利恵

環境設計

庭園の居場所

日本は伝統文化としての庭園が今尚続いている希有な国のひとつなので、その厚い伝統の上だからこそ、新しいトライも可能になると今回のランドスケープデザインでは考えました。つまり、底流にある定型文化の中で、洗練を突き詰めようとする動きと、それを壊して新しい定型を造ろうという動きが常にせめぎ合っているのが日本の特長でもあると考えたのです。そういった観点で千年の「都」にとって、私たちが今回異物でありながら「京都」から刺激を受けつつ、おこがましいかもしれませんが、結果的に文化を創っていく一助になればと思っています。具体的には、東京のモダンな金属職人と京の庭師技術をコラボして坪庭をデザインしてみたり、玄関先の敷石は古典的に見えてあまり使われていない素材を選択したり、星のや京都のエリアでの新しい試みをいくつか用意しています。

有限会社オンサイト計画設計事務所 代表取締役 長谷川浩己
有限会社オンサイト計画設計事務所
代表取締役 長谷川浩己